2010年5月21日金曜日

梅雨知らずの函館の街、鉄道むすめが颯爽と駆け抜ける!

ちょっと先ですが、6月10日といえば時の記念日、いえいえ、鉄方面にとっては「路面電車の日」、なのだそうです。恥ずかしながらきょう知りました。何で?6月で路面の「ろ」、電車で「てん」、無理ありすぎるだろjk!まあ、そんな語源なんてどうでもいいんです、とにかく何かにかこつけて盛り上がってしまえば無問題!ということで、この6月10日に当てて各地方の街中で活躍する路面電車会社が、様々なイベントを用意しているようなのです。

中でも注目したいのが、函館市電(函館市交通局)が今週から始めた、トレーディングフィギュア「鉄道むすめ」とのコラボレートによる「らっくる号」のラッピング電車の運行です。

函館市電は、昨年登場したハイカラ號の車掌「柏木ゆの」に続き、最新シリーズで新キャラ「松風かれん」を登場させるなど、鉄道むすめを積極的に活用して成功を収めている事業者の一つです。一応、自治体が運営母体であるわけですが、この思い切りの良さは実に興味を引かれるところです(機会があれば深く取材したいと)。

で、このたびラッピング運用を始めたらっくる号ですが、最近いくつかの事業者が導入してきている、お年寄りなどにも優しい低ステップ型最新車両9601号車に、「松風かれん」のイラストがドーンとはられた、早い話が「痛電」なわけですわ。しかも公式で。しかも公益団体なのに。いやあ、これは一度はこの目に納めておきたい代物ですね。何とか都合を付けてはるばる函館まで行ってみたいものです。

で、この「松風かれん」キャンペーン、ラッピング車両だけにとどまりません。車内の液晶ディスプレイでは、「松風かれん」の名前の由来である「松風町」と赤レンガ倉庫群(レンガ→かれんw)に近い「十字街」の各電停が近づくと、松風かれんのイラスト付きの案内表示が出現するそうです。

さらに運転台の近くにQRコードがはってあって、携帯で読み込むと特製コラボ映像を受信、ダウンロードできるという鼻血もののサービスまで。

そしてそしてそして、路面電車の日当日の6月10日にはこのラッピング車両そのものをモデル化したダイキャスト模型が発売されるそうです。限定200個なので何秒持つことか…。また6月5日には松風かれんのイラストが描かれた1日乗車券も発売の予定。

ちなみに、鉄道むすめの各キャラには非常に細かい背景設定がついているのですが、この松風かれんは中でも個性的。何でも、母親はロシア人でロシア語がペラペラ。しかも新選組マニア(五稜郭は新選組最期の地ですからね)で、好きな隊士は相馬主計(当地で死んだ土方歳三に変わって最後の隊長を務めた人物なんですね)なのだとか。


梅雨が近づく都会を避けて、梅雨のない北海道でレアアイテムを狙ってみてはいかがでしょう。詳しくは函館市交通局公式サイトまで。

2010年5月19日水曜日

すべてのオタの興味を網羅する、ドラマ「鉄道むすめ」のえもいわれぬ魅力

3年ほど前にU局で放送されたドラマ版「鉄道むすめ」がこのほど、gooブロードバンドナビより配信されております。このドラマ、ファンの中ではすでにご存じのトレーディングフィギュア「鉄道むすめ」のメディアミックスの一環で制作されたものなのですが、初回放送がU局など地方限定だったことと、その後もスカパーで放送されたくらいとあって、「見たくても見られなかった」というファンも少なくないことでしょう。有料コンテンツのようですが、この際、是非ご覧になってはと思います。個人的にはかなり一押しの作品だったりします。

何でそこまで押すのかと言いますと、実はこのドラマ、作りと言いキャストと言い、けっこう“かゆいところに手が届く”掘り出し物だったりするからです。

まず、周知の通り、フィギュアありきで始まった「鉄道むすめ」シリーズが、晴れて映像化されたことへの喜び。フィギュアの作りやイラストのイメージ、それと先にリリースされたCDドラマなどの連想から「アニメ化くらいはアリだろう」くらいには考えていたのですが、まさか実際の鉄道施設まで使って実車映像化までやってしまったのかというのはまさに感激。これに鉄オタたちが乗ってこないはずがありません。しかもオタたちと相性のいいアイドルの共演を絡ませてくる当たり、にくいですね。

ここは鉄道専用サイトなので、あくまで鉄道目線から入りますが、3話目(1話につき前後編2回構成なので第5回と第6回)の埼玉高速鉄道での運転士訓練の様子など、よくも鉄道会社側が撮影を受け入れてくれたなと、感心します。普通運転台の中にカメラを入れるだけでも、うるさい電鉄会社は少なくないんですから。

続いてチェックしておくべきはキャスト陣。アキバ系アイドルのAKB48時東ぁみアイドリングの面々に、「侍戦隊シンケンジャー」のシンケンピンク役を直前に控えていた高梨臨など、神の采配とも言うべき絶妙な布陣。アイドル好きから特撮好きまで、どこまでオタクの性質を知り抜いているんだといわんばかりのキャスティングですね。

そして、何本か見ればすぐ気付かれるでしょう、実にクセのある画作り、脚本、冒険的な演出。おそらく制作サイドからは「お前ら、やりたいようにやれ」という指示しか飛んでないのではないでしょうか。特に最終話の高梨臨主役回なんて、見ていて背筋が寒くなってきますよ、いい意味で。

1本315円だそうですが、鉄オタだけでなく、アイドルオタ、特撮オタ、映像オタ、すべてのオタ(筆者みたいな)必見の掘り出し物ですので、是非この目で確かめてみてください。

追記:視聴料金は1本315円じゃなく、13本全部で315円でした。いやあお得お得、たったこれだけで見放題ですよ!

写真コピーライト=(C) ドラマ 鉄道むすめ製作委員会

2010年5月18日火曜日

鉄道ファンも押さえておきたい東京スカイツリー(その2)

前回は東京スカイツリーと鉄道との土地のつながりを触れましたが、肝心の電車の画像が1枚もありませんでした。期待してこられた皆様には相済まないことです。でも今回はばっちり見せます。そう、2回目は「撮り鉄」おすすめ、絶好の撮影ポイントをご紹介します。

現在スカイツリー見物のメッカとなっている、東武伊勢崎線・業平橋駅の南側、京成橋と東武橋(きのうのエントリーを参照してください)に挟まれたタワーに最も近い場所は、撮り鉄諸兄にとってはあまり得るところがありません。遠巻きに東武の高架が見えはしますが、建機だの工事現場の障害物だのが間を遮り、またドーンとそびえるスカイツリーを一緒のアングルに納めるのはきわめて困難です。ニコンの6ミリ魚眼でもない限りまず無理です。

そんな特殊レンズなど持たない、普通の撮り鉄さんにおすすめなのは、東武橋から浅草方向に5分ほど歩いたあたり、「源森橋(げんもりばし)」の上です。ここは高架線のすぐ横を北十間川が流れ、電車とツリーと水辺の風景がぎゅっと1アングルに収まる是絶好のポイント。しかもここには屋形船の船宿があって、下町の水辺の風景を彩り、実にいい雰囲気を醸し出しているのです。

さらにさらに、晴れている日には水面に逆さ姿のスカイツリーが映し出され、現在379メートルのツリーが×2、760メートルの巨大鉄塔を目撃することができてしまうのです。これ、完成したら1268メートルですよ!2年後にはすごい写真が撮れるはずですよ。

そしてありがたいことに、この区間は、手前のカーブがキツイ浅草駅に入線する列車がノロノロ運転をしてくれるので、あまりテクニックになれていない初心者撮り鉄の人でも落ち着いてシャッターを切ることができるのです。

ぜひ今度の週末は、親子そろってスカイツリー見物に足を運んで、携帯のカメラでも何でもいいですから、ツリーとスペーシアの素敵なアンサンブルの写真を捉えてみてはいかがですか?

なおこの源森橋、直接お越しになるなら、都営浅草線の本所吾妻橋駅をおりられるのが便利です。撮影の後はそのまま線路伝いに隅田川まで出て、浅草見物というのも楽しいと思います。

2010年5月17日月曜日

鉄道ファンも押さえておきたい東京スカイツリー(その1)

まだ完成は1年くらい先なのに、すっかり東東京の新名物となってしまった東京スカイツリー。実は筆者の自宅から歩こうと思えば歩けるくらいの位置にあり、すでに見慣れた存在でもあるのですが、建築中のタワーが見られるのなんてこの1年半をおいて未来永劫ないこともあり、これらたびたびこのサイトでも取り上げていこうと思います。

え?スカイツリーと鉄道に何の関係があるんだって?それが大ありなんですよお客さん!

なんたってスカイツリーの大株主は東武鉄道。建築中の敷地も、元々東武の土地。しかもすぐ真下(つまり地下)には京成電鉄の押上駅も控え、れっきとしたターミナルでもあるのです。残念ながら、今地上を見渡すと、東武伊勢崎線の業平橋駅が、寂しくぽつんと存在するのみですが、元々この業平橋駅は「浅草駅」を名乗っていた時代があり東武にとっては由緒正しき地。そして今でこそ地下に潜っている京成線も開業当時は地上にあり、市電も行き交う実に賑やかな一帯だったのです。



その面影を今に残すのが、タワーの横を流れる北十間川にかかる二つの橋、「京成橋」と「東武橋」です。ちょうど今、スカイツリーを真ん中に挟んで見物のメッカとかしている東西二つの橋がそれなんです。すでにスカイツリーを見に行った人でも、これに気付いてくれた人が何人おられたか…。今度行ったら確認してくださいね。

2010年5月11日火曜日

東北新幹線全線開通は12月4日、愛称は「はやぶさ」に! そして“あの名称”の結果は…

JR東日本はきょう5月11日、東北新幹線の最後の未開通区間・八戸~新青森間の開通を今年12月4日とすることを発表しました。そして東北新幹線全通と同時に東京~新青森間を走ることになる、JR東日本期待の時速300キロ走行を実現する最速特急に「はやぶさ」の名称を付けることになったこともあわせて発表しました。思えば、東北新幹線の最初の暫定開業(1982年6月23日、大宮~盛岡)から28年目にして、ついに我が国が誇る超特急は津軽海峡を望む本州最北端に到達するに至ったのです。

新青森駅は、現在の青森駅より少し西側に位置します。青函トンネルとの接続を意識した配置なのでしょうが、筆者が昨年11月に車窓から眺めた時点では、まだ駅の周りは何もない寂しげな一帯でした。果たして本州の新たな北の玄関がどのような形で発展するのか、気になるところです。

そして気になるといえば、いよいよベールを脱ぐE5系の愛称が「はやぶさ」と命名されたこと。ご存知のように「はやぶさ」といえば、今を去ること13カ月前まで東京~熊本を走行していた最後の東京発ブルートレインが名乗っていた由緒正しき名籍。かつては西鹿児島(現・鹿児島中央)まで足を伸ばし、日本最長距離列車の名を誇っていました。そんな“南国育ち”の“青い翼”が、まさかまさか、北の空から舞い戻ってくるとは思いもしませんでした。

ちなみにJR東日本の発表によると、公募により決定したこの「はやぶさ」の得票は、実は上から7番目。なんとも中途半端な話ですが、選考理由について同社は「スピード感があり親しみやすい愛称であるため」と言っています。それはそれでいいのでしょう。

そうなると気になるのは、最多得票を獲得した名称。JR東日本の発表では、第1位が「はつかり」、第3位が「みちのく」となっています。やはり東京(上野)~青森を走るのは「はつかり」の名がふさわしいと思い至るのは当然でしょう。個人的にも「はやぶさ」より「はつかり」の方が北の特急にふさわしいようにも思います。「はやぶさ」の名称復活は喜ばしいところですが、「はつかり」の名も同時に大事にして欲しかったと思うファンは筆者だけではないでしょう。

あれ?なんで2位を飛ばすの?と思った方、そう、今回最大の問題はある意味この点にあると言っていいでしょう。なんと第2位に飛び込んできたのは「はつね」!

一部ネット界隈にそういう陰謀を企てる動きがあるとは筆者も聞いていましたが、まさかここまで上り詰めるとは。ある意味、これこそが現代を反映した投票結果なのでしょう。しかも3位の「みちのく」と続けて並べると「はつねみく」と読み間違えそうな勢い。ひょっとして「はつね」キャンペーンに参加した人たちへの、JR東日本による最大の謝意かもしれません。

ただ、事情がわからない方には「オタクの悪ふざけ」と捉えられかねないこの「はつね」計画ですが、E5系の塗装が初音ミクのイメージと重なっているところがあり、決してただの“おふざけ”ではなかったことは押さえておくべきかと思います。

2010年5月7日金曜日

新着続々!NHKオンデマンドは鉄道番組の宝庫です

NHKオンデマンドがここ最近、鉄道関連番組の配信を強化してきています。きょう5月7日からは、昨年3月に放送されたブルートレイン「はやぶさ・富士」の廃止直前のドキュメント「ドキュメント にっぽんの現場 寝台特急 ラストラン ~人生を運び続けた半世紀~」と、2003年にBSハイビジョンで放送された「ハイビジョンスペシャル 特急列車大図鑑」を同時に配信し始めました。

鉄道関連のテレビ番組というと、民放では何かと芸能人がしゃしゃり出たりやたらグルメや温泉を絡ませたりと、勘違いした方向に行きがち。そこへ行くとNHKに関しては、そのようなブレは最小限に抑えられ、ファンの間でも高い評価を得ています。一節にはNHK局内には真性の鉄オタが数多く生息しているとか。まこと、頼もしい限りです。

「ドキュメント にっぽんの現場 寝台特急 ラストラン」は、廃止を1カ月ほど前に控えたはやぶさに乗車し、乗客や車掌の評定をおっていくドキュメントです。決して鉄道マニア向けではありませんが、長距離列車という存在が、九州・熊本と東京を結びつける人々に生活空間の一つとしてどうあったのかを見せてくれる秀逸なドキュメントです。単なる趣味や道楽の対象ではなく、確かにその列車は必要とする人々のために走り続けていたことを、消え去る前にして思い知らされます。

その「はやぶさ・富士」が鉄路から消えて1年、はたしてブルートレインを失った人々の生活はどう変わってきているのか。そんな思いをはせながら改めてご覧になってみてはと思います。


このほかにNHKオンデマンドで配信されている鉄道番組で押さえておきたいのは、「趣味悠々 デジタル一眼レフで巡る ローカル線の旅」です。

教育テレビで放送された中高年を対象とした趣味のハウツー番組ではあるのですが、そんな地味な番組でも妥協を知らないのがNHK。第1回からファンを唸らせる要素が随所に見られます。

まず、講師を日本を代表する鉄道カメラマン・広田尚敬氏が担当しています。この名前を見ただけで飛びつくファンは少なくないでしょう。で、第1回の舞台は秩父鉄道。旧国鉄の101系通勤電車がじゃんじゃん登場します。そして第2回は小海線、第3回は富山地鉄、第4回は島原鉄道、第5回はわたらせ渓谷鐵道、第6回は嵐電、第7回は肥薩線、第8回と第9回は磐越西線と、ひつ癖も二癖もあるラインアップが揃っています。ね、手抜きという言葉を知らないでしょ。

さらに、撮り鉄でも今更聞けない基本なんかも懇切バカっ丁寧に解説しており、マニアでも納得の内容であることは間違いないです。

名前は知っていながらなかなか手が伸びないかもしれないNHKオンデマンドですが、時折覗いてみれば、宝の宝庫であることに気づくはずです。視聴料金はそれなりですが、それだけの価値は十分あると思います(金額などの詳細はリンク先でご確認ください)。


2010年5月6日木曜日

書評:機関車トーマスと英国鉄道遺産


鉄道にはさして興味がない人でも、「きかんしゃトーマス」はよく知っているという方は少なくないことと思います。日本でテレビシリーズがスタートして、今年2010年でちょうど20年。最初のシリーズで育った子供もいまや社会人になっているわけですから、幼児向けコンテンツの定番作品といえるでしょう。その「きかんしゃトーマス」、母国英国では本物が走っているってご存じですか?

いや、本物といってもしゃべる蒸気機関車が実在するわけではないのですが、あのユーモラスな顔を前面に掲げ、鮮やかなブルーの車体に身を包んだ豆タンク機関車が、いまも鉄路を元気に走っているのです。

英国はご存じの通り、鉄道発祥の国。それをほこりとする気持ちは彼の国の人々の中に浸透しているようで、その気持ちの表れの一つが、この“本物のトーマス”ということなのでしょう。

そんな「きかんしゃトーマス」の足跡をたどりながら、英国内で行われている鉄道遺産保存活動を巡っていくトラベルエッセー「機関車トーマスと英国鉄道遺産」がこのほど、集英社新書から発売されました。


「きかんしゃトーマス」シリーズが始まったのは1990年ですが、原作である絵本「The railway series」がリリースされたのはなんと第二次世界大戦の終結から間もない1946年のこと。その和訳「きしゃのえほん」(ポプラ社刊)は1973年から74年までにかけて、原作全26作中15巻までが発売されました。

実は私、この日本語版の初版本をリアルタイムで購入、全巻所有しております(ただし実感お納戸の奥深くに埋もれているはずで…)。その刷り込みは結構強烈で、いまだに「ヘンリー」という名前を聞くと緑色の機関車、ジェームスなら赤い機関車がまず頭に浮かんでしまうくらい。細かいストーリーまできっちりとは覚えてませんが、すばらしいおとぎ話だった印象はしっかり残っています。

その作品作りにかける原作者・ウィルバート・オードリーのこだわりは、実はリアリティの追求だったというのは意外な気もします。多少のデフォルメはありますが、物語の中で起こる事件や事故も、実際に起きた物から引っ張ってきているそうです。それ故になかなか筆が進まないこともあったようで、26巻発売するまでに26年かかったそうです。でもそんな本物志向だからこそ、そして母国ならではのバリエーションに富んだ機関車群の存在があるからこそ、物語に深みが与えられたのでしょうね。

本書にも特別に取り上げられていますが、わたしも路面機関車トビーを見たときは、「絶対これは創作」と思いましたから。でも、あんな機関車もちゃんと実在したそうです。唐突に出てくる印象のナローゲージ鉄道の物語も、ちゃんと意味があって挿入されているんですね。

また、実は英国独特の鉄道事情を知らないと、物語の細部まで楽しむことが出来ない事実も、本書で初めて知りました。民間鉄道による乱立時代の名残がしっかりと刻まれていたり。このあたりは日本語訳では調整されているのでしょうが。

鉄道に興味がある方はもちろん、鉄道という産業文化を生み出した英国の一面を覗ける一冊としても有意義な一冊と言えるでしょう。

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